御祭町 レストラン「GOING ROAD」御祭町店

一つのテーブルの椅子にキキョウとレンゲが並んで、向かいにはエリカ。
空いた席にボルト達が座っている。
キキョウはコーラ、エリカはレモンティー、レンゲはコーヒー、ボルト達はオイルを飲んでいる。
言っておくが、パクリではない。と思う。

「・・・・で、あの人は誰なんですか?」

エリカが話を切り出す。
それに答えるキキョウ。

「確か、あれは一ヶ月くらい前だったかな・・・。梔子市に行ったときに、不良に絡まれて・・・」

 

 

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pisode3「正義の味方」

 

 

――― 一ヶ月程前 ―――

「な・・・、なんですか?」

そういうキキョウの周りを、何人かのガラの悪い男が取り囲んでいる。

「いや、おれら金もって無くてさー。持ってるだけで言いから、金貸して貰いたいんだよねー」

そういいながら、キキョウににじり寄る男達。
大勢で一人を取り囲み金をせびる。
人、それをカツアゲという。

(まずいなぁ・・。今全然金持ってないし・・・。そんなこと言ったらどうなるか・・・)

キキョウが泣きながらそんな事を考える。
その間にも、男達は刻一刻とキキョウににじり寄ってきている。

「さぁ、金出してもらおうかぁ?」

男がキキョウの手を掴んだ。
と、その時!

ちょっと待ったぁ!!

声。全員が声の方向に振り向く。
階段の上。そこには、青いジャケットに身を包んだ一人の青年。

「だぁれだテメェはぁ!?」

男が叫ぶ。

「・・・・正義の味方だよッ!」

男の問いに答え、飛び降りる青年。
・・・まぁ、たいした高さじゃないので、飛び降りても平気だ。

「ふざけやがって!邪魔するなら容赦しねえぞ!!」
『転送!!』

一斉に叫ぶ男達。
光球が現れ、そしてはじける。
現れる人型の影。
DVL-02ベルゼルガ
BFA-01ブラウンバイソン
WLF-01ストレイウォルフ

「数が多いけど・・・・大丈夫かな。メダロット、転送!!」

青年が、叫ぶ。
メダロッチから光が伸びる。
光球となったそれは徐々に人の形を形作る。
緑のボディに赤い瞳、特徴的な赤いアンテナ。
TON-01トーノバッタ

「たった一機とは良い度胸じゃねえか・・・。よぉし!!行」
「ちょっと待ちなさい!!」

叫ぶ男達。
しかし、その声を遮った者がいた。
声の主は、女性。
気の強そうな長髪の女性である。

「このロボトル、ロボトル協会公認レフェリーのこの私、Ms.ハープが預かるわ!」

うっとおしそうに長い髪を掻き上げながら。
そんなにうっとおしいなら切ればいいのに、というツッコミは禁止である。

「行くわよ。それでは、ロボトル・ファイッ!!」

天高く掲げられた彼女の手が振り下ろされる。
まず、DVLが動いた。
TONに襲い掛かるDVL。
跳び上がり、腕を振り上げ、そして叩きつける。
それをTONは軽くステップを踏んで避ける。
バランスを崩したDVL、その脚で踏みつける。
TONの驚異的な跳躍力を利用した強力な一撃だ。
DVLはたまらず機能停止する。
そして、跳び上がるTON。

「な・・・、高ェ・・・・・っ!」

その跳躍に、驚愕の声を上げる男達。

「く・・・バカめ!狙い撃ちだ!!」

TONを狙い、BFAが腕を構える。
そこから発射される物体。それはミサイル。

「うおおおおおおお!!!」

叫ぶ、TON。
その腕から放たれた光線は、ミサイルを一瞬で蒸発させ、そしてBFAに向かう。
エネルギーを集中させた粒子の帯に包まれる。
光が収まった時、そこには黒焦げになったBFAが倒れていた。

「くそっ!」

舌打ちをする男。着地するTON。

「後一機・・・・。さぁ、来い!!」

男達を挑発するTON。

「なめやがって・・・・。行けぇえええ!!」

メダチェンジをし、突っ込んでくるWLF-01。
TONに爪を突き刺さんと飛び掛る。

「甘い!」

軽く跳び、それを避ける。
同時に両腕のにチャージが完了。
そして、放つ。
WLFの背中に光の帯が直撃する。
倒れるWLF。背中のメダルスロットからメダルが射出される。

「全機機能停止!!マナカ選手のしょーうり!!」

Ms.ハープが青年の勝利を宣言する。

「さぁ、どうする?」

男を指差す青年。

「くそっ!覚えてやがれ!!」

悪態を付きながらも逃げ出す男達。

「お・・・、おお・・・・・・!」

ロボトルに目が釘付けになっていたキキョウに近寄ってくる青年。

「大丈夫かい?」

キキョウに声をかける。
すると、TONが。

「おい、そろそろバイトの時間だぞ」
「あっ、いけね!・・・それじゃっ!」

一度だけキキョウを振り返り、そして駆けてゆく青年。

「・・・・・・・か・・・・・」

キキョウが呟く。
しばしして、彼の口から漏れた言葉は。

カッコイイ!!

その一言だった。

 

 

「・・・・・ま、それがメダロット買おうと思ったきっかけかな?」

黙々と話しつづけてました。

「・・・・・正義のメダロッターS・・・・だな」

呟くレンゲ。

「へ?誰それ?」
「最近梔子市で話題になってるメダロッターだよ。・・・・知らなかったのか?」

頷くキキョウ。

「ちょっといいですか?」

エリカがそこに口を挟む。

「たしか・・・てぃおぉえぬでしたっけ?
何でそれじゃなくてボルト君を買ったんですか?」

その言葉に、キキョウが答える。

「ああ、うん。オレも最初はそのつもりだったんだけどね。
 調べてみたら、その機体関東限定でもう在庫が無かったんだ。
 それにもう生産もやってないって言うし。だから代わりにトートンボーを買ったんだよ」
「へぇ、そうだったんですか」

頷くキキョウ。エリカも納得した様子。
隣でボルトが「オレは代わりに買われたのか・・・」と愕然とした表情で呟いた。

「・・・・・あ、もう6時なんで私帰ります。それじゃあ」

お辞儀をしてGRから出るエリカ。
勘定は机の上にちゃんと置いていく。

「じゃ、俺もこの辺で・・・・・」

エリカがいなくなったら帰る。こいつは・・・・・・。

「・・・・・・・・・・・・」

ぽつんと一人になる。寂しいな。

「帰るか」

帰っちゃいました。

「オレは代わりに・・・・」

しつこい。


「おーー」
胸が高鳴る。

「探検してたんだ♪おもしろそうだろ?」
飽くなき探究心!!(違

「さようなら、私の大好きな人」
彼女は時空を超える。

運命の分岐点へと―――

 

メダロットZERO第4話
「出現!!永遠の好敵手!!」